生きるのが下手くそなエッセイ

人生に悩みまくりの僕カシコが、エッセイやコラムを気が向いたときに書いていきます

お金を稼ごうとしなくなったら、僕の人生が楽しくなった

男性が勢いよくジャンプする画像


お金。

資本主義真っ只中のこの社会において、めちゃめちゃ大事なものだ。お金がなければ生活できないし、ちょっとした遊びだって困難になる。さらに言えば、それはステータスの一つとも言えるかもしれない。

僕もお金は好きだ。正確にいうと、お金を使って商品やサービスを買うのが好きだ。好きな漫画や映画、音楽なんかにお金を払うことでアクセスできる。さらに、その製作者の生活の糧になる。すごい、気持ちを届けてくれるお金というシステムすごいぞ。

でも僕は昨年から、お金を稼ぐことに執着するのをやめた。なぜならそれはつまらないものだったから。

自由のための副業計画

昨年の4月。僕は副業に燃えていた。正確にいうと、「今年は副業で稼いでやるぞ!」という風に、目標を持って燃えていた。今行っている本業は副業が可能なため、どんな副業をしてやろうかとニヤニヤしていたのだ。

僕が副業を行おうとした理由はとてもシンプルで、自由に使えるお金を増やしたかったからだ。将来、海外にいくことを目標としているため、それ用のお金を溜める必要があり、給料のそれなりの部分を貯金に当てている。しかしそうすると、諸々の必要経費を引いた後に残る金額は、自分で自由に使うにはかなり心許ない額だった。

もちろん毎月の貯金額の設定が高すぎたり、お金がないのにローンを組んでPCを購入したりしたことには、大いに反省、および改善の余地があるだろう。ただもうローンは組んでしまったし、貯金の計画も割と覚悟して始めたことだったので、それらを見直すという発想には至らなかった。

そんなこんなで、自分の好きなものを買ったり、見たり、聞いたりするために、僕は副業を始めようと決意した。とは言っても、今更アルバイトをするのもつまらないと感じたため、僕はいわゆる在宅系の業務で副業につなげようと考えた。

在宅副業のススメ

在宅で副業、もっと言えば在宅でできることでお金を稼ごうとすると、そんな方法はわんさかと検索に出てくる。○ヶ月で△万円!とか、一年で□十万円とか、そんな胡散臭い数字が、ド派手な文字とともに並ぶ、皆さんご存知のあの光景だ。

しかし僕はこれまでも在宅作業でお金を稼いだ経験があったため、それらに惑わされることはほぼなかった(0ではない)。その経験から僕が副業につなげようとして力を入れたのが、映像と文章だった。

映像は趣味で定期的に制作している感じで、今までに知り合いから案件を受けたりもした。ましてや現在はYoutubuブーム真っ只中。需要がありまくりだろうということで、一つ目の副業の柱とした。

文章に関しては、今までお金につなげたことはなかったが、自信はあった。かつて記事にしたこともあるが、簡単に言えば、中学校で賞を取ったり、大学院での論文や執筆で、自分の文章力を感じられたからだ。しかも最近はnoteというサービスがあって、それで稼ぐことも可能らしいという噂も聞いていたので、文章を二つ目の柱とした。

こんな流れがあり、割と経験値のあるものから副業につなげられるようなルートが見えていた。別に大金を稼ぎたいわけじゃない。でもこれで月に数万とかもらえれば、いろんなものが見れる、聞ける、買えるなぁとワクワクして副業生活を始めた。

稼げぬなら、稼ぐまでやろう、副業を?

案の定だろう。全然稼げなかった。映像はクラウドソーシングに登録し、文章はnoteで販売をした。しかし全然稼げなかった。というか、一個も案件が入らなかった。そこでなんとか案件につなげようと、「無料でやります!」と言ってみたりとか、noteの記事販売以外の機能で収益を出そうとしたりした。

しかし、結局最後まで案件が入ることはなく、一円たりとも稼ぐことはできなかった。ただここで僕は諦めなかった。ここで諦めてはいけない、改善点を解消して、次の行動に移していけば、きっといつか案件が入り始める。一度案件の波ができれば、あとはきっと問題ないはずだ!という謎の自信と共に、僕は副業に繋がるであろう作業を進めた。

Twitterで集客を図ったり、似たようなことで稼いでいる人のノウハウを調べたり、どんなところにニーズがあるかを調べたりと、関係ありそうなことには手を出し、試すということを繰り返した。確かに少しずつ見てくれる人は増えていった。多分、うまくいけば数百円単位の稼ぎは出るだろうというところまでいった。でも繰り返し繰り返し、調べては試し、調べては試しているうちに、なんかつまらなくなってしまった。

アルバイトした方が100倍まし

当時の僕は、副業につなげる=ニーズのあるサービスや商品を提供する、という風に考えていた。もちろんこの発想は間違っていないのだけれど、これだけしかしていなかった。つまり、自分の映像や文章のスキルをあげることよりも、よりニーズに即したものを作ることだけに特化しようとしていた。

でもそこには大きな問題があった。どうやら僕はニーズに合わせるという作業が好きではないらしいのだ。いろんなニーズがありそうな商品を見て、なるほど、こういう文章が好まれるのか、こういう映像が必要とされるんだな、というのは何となく掴むことができた。でもそれらを自分で作ろうという気力がだんだんとなくなっていった。

最初の頃はもちろんやる気はあった。でもそれは数字にはつながらないし、クオリティが上がっているわけでもない。そもそもこの手のものを作るということが、僕に取っては楽しいことではなく、むしろ苦痛に近いものだとわかり始めた。こんな状況ならアルバイトでもした方が、よっぽど楽で稼げると本気で思った。

自分が今までやってきたことを副業にする、その難しさや壁の厚さに気づいた瞬間だった。

お金は残らなかった…でも?

結果的に僕は、映像と文章を副業にすることを辞めた。理由は、それらを副業にすることが好きではないから。ものすごくシンプルな理由だけど、絶対に覆せない大きなものだった。でもこの副業に挑戦したことで、得られたものもあった。それは、僕が好きなものがわかったことだった。

誰かのために、映像や文章を作るのは好きじゃないな。そんなことを思いながら、映像を作っていたとき、自然と頭に浮かんだ。

「こんなのじゃなくて、ああいう映像が作りたいなぁ。」

あれ?僕の好きなことって…もしかして…。そこからは早かった。自分の好きな映像や作り方を調べて作り始めた。知り合いに見せて、コメントをもらい、直してまた作るということを繰り返した。楽しかった。そう、僕の好きなことはとても単純だった。僕の好きな映像を作ること、それだけだった。

文章も同じだった。誰かに向けた文章じゃない。僕が心から思っていることを、伝えたいことを文字にすること。それが僕の書きたい文章だった。そう気が付いてからは、文章の更新ペースや、文章の内容が変わった。

お金を稼ぐという目的を取り除いたら、一気に作ることが楽しくなった。映像も文章も。僕が好きじゃなかったのは、映像を作ることでも、文章を書くことでもない、お金のために何かをすることだった。確かに副業には失敗したかもしれない。でも副業に挑戦したからこそ、僕は今、自分が楽しむために映像や文章を作ることができている。

お察しの通り、自由に使えるお金は相変わらず少ないままだ。でもそれ以上に、自分の人生に大切なこと、自分の人生の幸せみたいなものが見えてきた気がするのも、きっと間違いじゃない。

未来に向けて

最後に少しだけ将来の話を。今現在、僕は映像や文章でお金を稼ごうとしていない。いや、正確には将来的にお金が稼げることを目指している。それはスキルを得るということ、経験を積むということとも置き換えられる。今は目の前を映像や文章を、楽しんで、熱中して、真剣に作る。そしてその先に、自分の中にたまったもので、それを本業なり、副業という形にできればいいと思う。

本当に映像で稼ぎたいのか、文章で稼ぎたいのか、そんな問いは今はあえて置いておく。ただ必死にしがみついて、走り続けた先でしか、見出せない答えもあると思うから。だから今はただ、いい映像を、いい文章を、作り続けていくことだけが僕の目標であり、人生の楽しみになっている。