生きるのが下手くそなエッセイ

人生に悩みまくりの僕カシコが、エッセイやコラムを気が向いたときに書いていきます

『イエスタデイをうたって』が僕にくれた勇気

2020年春期に放送していたアニメ、『イエスタデイをうたって』が最終回を迎えた。
個人的にとても印象深い作品だったので、なぜ僕がそれほどまでにこの作品が好きだったのかを書こうと思う。
作品として面白いのはもちろんだが、僕はこの作品から勇気をもらったのだ。

TVアニメ『イエスタデイをうたって』公式サイトTVアニメ『イエスタデイをうたって』2020年4月4日よりテレビ朝日にて毎週土曜日 25:30〜放送!冬目景が描く青春群像singyesterday.com

物語の紹介

主人公のリクオは、大学を出てからも就職することなく、コンビニでバイトをしていた。趣味でカメラを触っているが、それを職にするほど真剣には捉えていない。バイト自体は職場に良い人が多いし、生活にも困らないので続けていける。だが人生の時間はその間にも刻々と進んでいく。そんな状況に少しの焦りを覚えながら、日々を繰り返していた。そこに突然、カラスを連れた少女、ハルが現れる。ハルはリクオのことをなぜか好いており、ちょくちょく絡んでくるようになる。だがリクオには、大学時代から片思いを続けている同級生、榀子がいる。そこに榀子の幼なじみである、浪も加わり、4人が絡み合うことで物語が始まる。

僕とリクオ

僕とリクオは似ている。それは、自分の今の現状が関係している。現在僕は働いているものの、半ばフリーターのような状態で、数年先の自分がどうなっているかはわからない状況にある。就職活動の際に、自分のやりたいことがわからないまま、今の職になんだかんだ辿りついたという感じだ。ただ僕もリクオのカメラと同様に、好きが高じて趣味で行っていることがある。映像を作ることだ。僕は中学生ぐらいから映像制作をはじめ、10年以上たった今も、それを続けている。ただそれを仕事にするなんてことは、頭によぎったことはあれど、真剣に考えたことなんてなかった。そんな中途半端な、宙ぶらりんな状態が、彼と僕の共通点のように思えて、僕は彼に自分を重ねていた。だがそんな彼は、僕に二つの勇気をくれた。

勇気1:「もうちょっと」をやめる勇気

リクオは物語の途中から、コンビニバイトに加えて、趣味のカメラ関係のバイトを始める。最初は生活のためだったが、段々とやっている仕事が楽しくなってくる。しかし、それを生業にすること=カメラの世界で生きていくということには、踏ん切りがつかないでいた。その理由は彼自身が学校などでカメラを学んでいないこともあり、自分のカメラの腕や技術に自信が無かったから。「スタジオで経験をもうちょっとつんでから…。」そう思っていた矢先、職場の先輩に言われる。

「「もうちょっと」っていつになるんだ?」

何かを生活や人生の中心にするために必要なのは学校や、技術ではない。自分がそれをやっていくという、一つの心持ちなんだと、先輩はリクオに言う。それを聞いたリクオは、目の前の仕事に必死に取り組み、見事写真スタジオの正社員となる。

僕の場合も同様だ。僕も映像を独学で学んだ。周りにも映像を作っている人間はいるが、みんなどこかの専門学校で学んでいたりする(そうじゃない人もいるけど)。そういう人たちと比べることで、「独学の俺なんかが映像を仕事になんてできやしない」、と僕はしばしば自分に言い訳をしてきた。

だけどリクオの姿を見て、なにか違うんじゃないだろうかと、そんな気がした。

それから僕は自分の作品づくりを始めた。それは今日まで続いている。まだ共有できている人数は多くはいないが、近いうちにnoteにもその作品を紹介していこうと思う。なぜなら僕の「もうちょっと」は、もう過ぎ去ったのだから。

【追記】noteにも共有しました。よければ見てください。

勇気2:胸を張ること

最終回のネタバレになってしまうから、ちょっとぼやかすが、リクオはある人に、「胸を張ってあなたを好きといえない」と告白する。それが自分の中にあったモヤモヤの正体だと。

かっこいい。

素直にそう思った。SNSやインターネットという電脳世界に日々浸かる生活をしている僕(達)には、自分の足りない部分や、醜い部分、隠したい部分を自らさらけ出すことは、とてもすごいことのように思えた。それと同時に、「胸を張れない」という表現が僕の中にスッと落ちてきた。さっきも言ったように今の僕は、いろいろやっているようで、その節なにもできてはいない。

お金は稼いでいるけど、半ばフリーター。
留学に行く予定もあるけど、それも海外で生活してみたいからというだけ。私生活でもアニメやマンガ、映画を見まくってるだけだ。

なにもない。なにも持っていない。

だから僕は最近友人に会うのが少し怖くなっていた。でもそれがなぜだかは自分でもよくわからなかった。だって僕が今いる現状の見た目や聞こえはいいから。

自分の時間を持ちながら生活できるレベルには働いている。
将来的には海外に行く予定。
最近おもしろい映画や漫画のオススメもおまかせあれ。

周りの人にはこんな風に捉えられることが多い。「いいなぁー」とか「すごいね」とよく言われる。なにもすごくない。君たちの方がよっぽどすごい。僕は胸を張って伝えられるようなことをなにもやっていないんだから。背中を丸めて、猫背でみんなの話を聞いているだけなんだから。僕がそんな状態にあるんだってことを、リクオのセリフで改めて自覚した。僕の胸の中のモヤモヤがちゃんと見えた気がした。でも彼は、リクオはそこで止まらなかった。アニメの1話で自転車ごとゴミ袋の山に突っ込むような人間だ。その胸をしっかりと張れるように、自問自答しながらも前に進んだ。

僕もそうなりたい。

胸を張って、僕のやっていることを伝えら� ��るようになりたい。僕自身が僕自身を誇りに思って、まっすぐに前を向きたい。そのために僕は、このどうしようもない猫背を治すそうと決めた。時間はかかるかもしれないけど、いつか胸を張るために。

最後に

イエスタデイをうたって』は、僕に勇気をくれた。またそれを新型コロナウイルスの影響があるこんな時期にも関わらず、届けてくれたこともまた一つの勇気と言えるだろう。こんな風に、誰かの心に届くものを僕は生み出していきたい。そう思える本当に素晴らしい作品だった。全12話、プライムビデオで視聴できます。ぜひ見てみてください。昨日を振り返ることで、あなたの明日が変わるかもしれません。