生きるのが下手くそなエッセイ

人生に悩みまくりの僕カシコが、エッセイやコラムを気が向いたときに書いていきます

僕のMac Book Proが1/2920だった話

Mac Book Proを購入した。
これまで、僕は一度もApple製品を買ったことがなかった。
ただ、使っているパソコンが7年目で不調になっていたり、映像制作を本格的にやるためにスペックの高いパソコンがほしいなと思ったので、思い切って購入した。しかしMac Book Proデビューの道は、そう簡単なものではなかった。

Mac Book Proを買ったいきさつ

僕はこれまで、ずっとWindowsのパソコンしか使っていなかった。その理由は単純で、Apple製品は価格が高いからだ。同じぐらいのスペックで比べたときに、倍ぐらいの値段になったりする。背面に果物のマークがついただけなのに…不思議である。ただ僕の周りには、そんなApple製のノートパソコンであるMac Book Pro(以下Mac)を使用している友人は多かった。彼らの作業している風景を見ていたり、実際にさわらせてもらう中で、ちょっとMacが欲しくなってきた。そこでこの度、思い切ってMacを買ってみようと思ったのだ。

Mac注文に迷う

ただいざMacを買おうとしても、カスタマイズの幅が広すぎて迷う。僕も詳しくはないのだが、CPUやらメモリやらグラフィックボードやらストレージやらその他もろもろと、選択肢にあふれていた。僕のMacの使い道は、主に映像制作となる。その目的を忘れないようにしながら、Macを使用している友人にもいろいろと話を聞いた。さらにそれでは決定打にかけたため、海外のYouTuberにまでたどり着いてしまった。沼である。
ちなみにこの動画はすごくわかりやすかったので、共有しておく。


そして僕はついに、もろもろのカスタマイズやオプションの保険の追加などを決めた。その結果、35万を払うことと引き換えに、リンゴのマークがついたパソコンを購入したのだった。

Mac届く

そして一週間後Macが届いた。見たことない配達車が家の前に止まっており、見たことないお兄さんから荷物を受け取った。ダンボールを開けると、そこにはブランド品にありそうな箱がでてきた(実際ブランド品なんだけども)。
そして開封
フィルムの止め方や、封入の仕方、すべてがWindowsと違った。あぁ、これがAppleか…。そう思いながら僕は本体を取り出した。スペースグレイの輝きは高級感に満ちており、開けるのをためらうほどだった。しかし意を決して蓋をあけると、自動で電源がついた。「うぉっ!」と驚いたが、反射した僕の顔の真ん中に、リンゴのマークが浮かび上がってきた。ここから僕のApple生活が始まるんだ。期待で胸がいっぱいになった。

いざ制作

もろもろの準備や、データの引っ越しを終えて早速制作に入ろうとした。noteの執筆をしながら、使い勝手がどんなもんかと確認していると、充電の警告が出た。おっと、充電するか。箱にしまったままだった充電ケーブルと大きなアダプターを取り出し、僕はポートに刺した。見事充電開始、これは早そうだ。

数時間後

充電47%

ん?おかしい?充電が止まってる?コンセントでも抜けてたかなと思い、プラグやケーブルをチェックする。なにも問題はないようだ。しかし、充電は一向に進まない。ただWindowsでPCの不具合になれていた僕は、とりあえず「Mac 充電できない」で検索して、解決策を探すことにした。何パターンか出てきたので、数日かけて色々試してみた。ちなみにその間は、別の充電器で充電した(スマホのだから充電が増えはしないやつ)。

そして数日後。

治らなかった。

一度使えているので初期不良ではないが、届いた直後ということもあり僕の心は荒れた。その様はとても醜いので、ご想像にお任せしたい。とりあえず心を落ち着かせた僕は、近くのApple Storeの予約をした。

Apple Store

Macはオンラインで買ったこともあり、僕はApple Storeにいくのは初めてだった。ここが噂に聞くApple Storeか...。なんか意識高そうで、お洒落な人がいっぱいだ。そんななか、僕はデスクに呼ばれた。向かうとそこには一人のスタッフが。Kさんとしておこう。Kさんはとても親切に対応してくれて、
早速問題の解決を試みてくれた。
「充電となると...ケーブルですかね」
だが、ケーブルは素直に反応した。
「え、こっちか?」
疑うように、アダプターのテストをする。
反応しない、アタリだ。
僕のMac book Proの不具合は、充電用のアダプターにあったことが判明した。その事実に対してKさんは口を開いた。

「これは初めてですねぇ...」

は?耳を疑った。Kさんはそのまま続ける。

「僕、8年ぐらいこの仕事してるんですけど、この不具合は初めて出会いました」

心なしかちょっとワクワクしているようだった。
つまり、 365日×8年=2920日目にして初めての不具合のタイプだったというとになる。1/2920、すごい確率に出会ったものである。もっと言えば、人生で初めて買ったApple製品がその不具合に出会う確率なんかはとんでもないのではないだろうか。宇宙を感じるレベルだ。
Kさんはそのまま他のスタッフにも話に行き、
「やっぱり他のスタッフも驚いてましたね」
と言った。
「そうですか〜」
とか適当に返しながら、僕は心の中で、
「なんかとんでもない展開になっちまった...」
とボーッと考えていた。
その後もKさんは丁寧に、かつノリよく対応してくださり、僕のMacの不具合は事なきを得た。
「これからはこれでガシガシ作業できますね」
Kさんは笑顔で僕に言ってくれた。
そもそも不具合がなければすでにガシガシ作業しているはずだったのだが、
まぁ今更そんなことを言うのは野暮だろうと思った。何よりこの2920分の1というぶっとんだ確率が、僕を少しばかり上機嫌にしていた。

帰り道

外出自粛も終わり、人があふれている帰り道の中で僕は考えた。いざMacが正常になったといっても、なにから作り始めようかと迷っていた。今僕はこいつでなにがしたいのだろう。リュックの中にあるMacの重さを背中で感じながら考えた。

うーん。

あ。

「こいつのことを書こう」

そう思った僕は、家に帰り、直ったばかりのMacでこの文章を書きはじめた。このMacもまさか、初めての制作として自身のことを書かれているとは思うまい。こいつもこころなしか、いつもより動作が早い気もする。気のせいだろうけど。充電が無くなりはじめたので、ケーブルとアダプターをさす。「ポンッ」と軽い音がしたあと、充電が始まった。そうそう、それでこそApple製品よ、などと思いながら、僕は改めて文章に向かう。

改めてこれからよろしく、相棒。