生きるのが下手くそなエッセイ

人生に悩みまくりの僕カシコが、エッセイやコラムを気が向いたときに書いていきます

10年越しにやっとゲーム実況をはじめられた話

ゲーム実況。ここ数年で一気に市民権を得た言葉のように感じる。もちろん元々ゲームが好きな人はだいぶ前から知っていたろうし、僕もニコニコ動画などで実況をたまに見ていた。最近ではYouTubeが一般的になるのに引っ張られて、ゲーム実況をやる人も、見る人も多くなった。僕もそんな一人だ。ただ、僕のこの思いは10年ほど前から始まっている。

動画編集にハマって

僕は中学生の頃から動画編集をはじめた。最初は、学校の行事などを撮影して、それを流行っているアニメのOPの曲に載せたりしていた。もちろんそんな内輪受けの動画なので、ネットにアップすることはなく、仲間内で見ているだけだった。クラスのみんなが知っている曲に、そのみんなが登場する。それだけで、もう面白かった。そんなことを繰り返している少年が、「もっとたくさんの人に自分の動画を見てもらいたい」と思うのに、そんなに時間はかからなかった。

おじさんとの出会い

高校生になり、本格的にYouTubeを意識しはじめた。当時はまだYoutuberという名前が出始めた頃だったように思う。そんな時期にも関わらず、高校で知り合った友達が僕にとあるYoutuberをオススメしてくれた。「とりあえず、見てみ?おもろいから。」彼は僕にそれだけ言った。
そのYoutuberが「瀬戸弘司」である。
僕は瀬戸さんと親しみを勝手に込めて呼ばせてもらっているが、現在でも動画を視聴している。
チャンネル登録者も162万人と、立派な人気者だが、知らない人のために念のため、どんな動画を作っているか紹介しよう。一言で言えば、

おじさんがハイテンションになっている動画

これに尽きる。
皆まで言わずとも、これを見れば早いと思うので、ぜひ見て欲しい。

このおじさんを見て、僕は動画編集の面白さを改めて感じた。「商品を紹介するだけでも、編集次第でこんなに面白くなるのか…!」しっかりと編集された動画は面白いんだという考えが、僕のベースにできたのはこの時期だった。

ゲーム実況とお金
YouTubeに動画を出そうと考えた僕は、どんなジャンルの動画を出そうかと考えていた。当時、顔をネット上に出すことは今よりもだいぶ抵抗感があったため、実写系は除外。となると、選択肢は自然とゲーム実況に絞られた。顔を出さずに、ゴリゴリの編集をして、素材の動画を面白くする。これ以上はないほど、僕の求めていたものと重なった。
しかし、ここで大きな問題が発生した。機材だ。ゲーム実況をするには、ゲーム機はもちろんのこと、そのプレイ画面を録画するキャプチャボード、そしてその録画や撮影後の編集に耐えうるPCが必要だった。僕の高校ではバイトも基本的に禁じられていたため、お金を稼ぐ手段もない。それでもなんとかゲーム実況がやりたくて、家族のカメラを使って、プレイ画面を直接撮影したり、無料の動画編集ソフトの練習をしたりした。ただやっぱりそれでは僕の求めるクオリティには到ることはなかった。現実的に、ゲーム実況が作れる状態ではなかった。
ただ諦めなかった。
「今は無理でも、大学生になったら…!」
この思いを胸に抱きながら、僕は大学に進学した。

大学生になったのに

満を待して大学生になった。入学祝いとして、動画編集ソフトが入ったPCをゲットし、実況動画が撮れるように機材も揃えた。いざ撮影!そして編集!友達ともコラボ実況をしたりもした。
だが、ここで問題が起きる。購入したPCに入っていた動画編集ソフトが、エラーを起こした。具体的には、動画に文字を入れることが一切できなかった。ゲーム実況の編集をする上で、かなり致命的なものだった。
「そんな…。」
心が折れそうになりながらも、ネット上で同様の症状がないかを調べた。しかし、解決策を見つけることはできなかった。今思えば、初期不良としてメーカーに修理を依頼すればよかったのだが、当時は「買ってもらったばかりのPCが不良品な訳が無い」、と思っていたこともあり、そのままにしてしまった。代わりのソフトとして、無料のソフトも試してみたが、そちらも小さなエラーが頻繁に出てしまっていた。
このようなことが積み重なり、僕の中でゲーム実況の作成が、半ばトラウマになっていた。機材や環境を整えても、結局エラーが出てしまう。何かトラブルが起きてしまう。そして完成まで持っていくことができない。どうせ作れない。僕は自然と、ゲーム実況を作ろうと思わなくなっていった。

ふりだしに戻る

転機はこの春だった。自粛期間に入る前、友達同士のノリでYouTubeに動画をあげて、それをみんなで見ることになった。久しぶりのYouTube。うまく作れるだろうか。面白いものになるだろうか。少しの心配を抱えながら、僕は撮影と編集を担当した。
そして、動画披露の瞬間。やれることはやった。限られた時間の中だけど、自分なりに面白いと感じるものを全部入れた。全部やった。つまんなくても悔いはない。友達が集まる前で、動画が再生される。




笑い声が響いた。

「めっちゃ面白いじゃん!」「さすが!」「超笑ったwwww」
いろんな感想が聞こえてきた。どれもが、僕の作った動画から生まれた喜びだった。
楽しい。
動画を作るって、それを見てもらえるのって、こんなに楽しいのか。閉ざされていた部屋に、一気に風が吹き込むような感じがした。
作りたい、やりたい、面白いことをしたい。
そんな気持ちがふつふつと湧き上がってきた。次の瞬間には、動画編集に必要な機材やプランを練り始めていた。

「俺が面白いと思う動画を、もう一度作ろう…!」

僕の心は、10年前の中学生のときのように、キラキラと輝き出した。そうして4月から、ゲーム実況の動画の準備を始めることになった。

「今の僕」の動画

こんな経緯で、やっと完成したのがこの動画。昨年発売された「DEATH STRANDING」というゲームを実況した。

僕が今思う、面白い動画を作れたという気持ちはある。ただ、他の人にも面白いと思ってもらえるかどうかはわからない。正直、久々の編集で不慣れな部分もあるし、まだまだ改善の余地も多いと思う。
ただここでちゃんと記すことで、心が折れないようにしたかった。僕がなぜこのゲーム実況動画を作ったのか。どんなものを作りたかったのか。そんなことを文章として残しておくことで、やめたくなった時にも、続けられる支えになると思ったから。
これまで何度も挫折してきたゲーム実況。でも次こそはやめたくない。たくさんの人が、面白いと笑えるようなものを作っていきたい。ちゃんと続けることで、自分の誇りにしたい。
10年前の僕に、恥じないようなものを、僕は作りたいんだ。