生きるのが下手くそなエッセイ

人生に悩みまくりの僕カシコが、エッセイやコラムを気が向いたときに書いていきます

2020年はHIPしてHOPした年だった

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明けましておめでとうございます。新年になかなか執筆できずにいましたが、昨年のまとめを書いていないので、ちょっと振り返りの時間を取ることも兼ねて、文章にしていきたいと思います。 

梅田サイファーと出会って

昨年は、僕がガッツリHIP HOPにハマった年でした。きっかけは忘れもしません。2月8日土曜日、18時から梅田CLUBQUATTROで行われた、梅田サイファーのライブでした。それまで僕は、音楽を聞いたり、ラッパーのラジオ(Creeoy Nutsのオールナイトニッポン0)を聞いたり、バトルの動画を見たりという形で、HIP HOPと触れていました。特にバトルから入ったこともあって、曲にはまだまだ馴染みがなく、もっといえばHIPHOPがどんな文化なのかということも、ほとんどわかっていませんでした。ラップ=HIP HOPみたいなイメージでしたね。

そんな中でもハマっていたのが梅田サイファーというグループでした。このグループが2019年に出した「マジでハイ」という曲があまりにも気に入りすぎて、1年以上ずーっとリピートして聞いていました。

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そんな梅田サイファーがライブするということで、僕は足を運んでみることにしました。確か1年かけて全国を回っていたと思うのですが、他のライブ会場の映像とかも出ていて、それを見て楽しそうだなぁと思い、チケットを購入しました。全国を回っている間にも梅田サイファーは新曲を出して、僕のライブへの期待はどんどんと高まっていきました。

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そして迎えた当日。ライブは言わずもがな最高でした。でもそれ以上に僕はHIP HOPというものがなんなのかということを感じました。ある曲の最中でした。僕は気づいたら泣きながら頭をふっていました。生まれて初めての体験でした。とある人に向けたその曲は、マイクリレーをしているそれぞれのラッパーの想いがこもった曲であり、メッセージでした。

これがHIP HOPなんだな

そう感じました。頭ではなく身体で理解したという感覚が近かったと思います。そんなのはHIP HOPではないという人もいるでしょうが、あの瞬間、HIP HOPをただのラップとして、曲として聞くという次元を超えた気が、僕にはしました。それと同時に思ったことがありました。

これってもしかして僕にもできるのかもしれない

リスナーからプレイヤーへ

ライブを見ていて感じたのは、「言葉」でした。もちろん、韻とかフローとか、ラップの技法としての言葉という側面もあります。ただもっと根底に、ラップというのは、人に自分の思いを伝える「言葉」なんだと強烈に感じました。それは言い換えれば、自分が普段していることに繋がるんじゃないのか。僕たちは日頃から、言葉を使って自分の考えや思いを伝えています。僕の印象ではラップはそれらをもっと突き詰めていった先にあるものだと感じました。

自分の中にある、悩みや苦悩、喜びや楽しさ。一言では言い表せないようなそんな想いを、ラップという形にしているんだと。もちろん僕の中にもいろんな考えや気持ち、もっといえばそんなものにすらなっていないモヤモヤがあったりします。そんなものをラップを通して、自分の外側に出せたら。そういう考えが自分の中を一瞬よぎったのです。

そしてそれを止める理由はどこにもありませんでした。ラップをするのに必要なものは口だけです。言葉を話すことができれば、ラップはできます。別に話せなくても、歌詞は書けます。技術は後からつけるものだし、どんなラップをしていくかは少しずつ考えていけばいい。ただ心の中をラップという形にして吐き出したい。この気持ちを曲げちゃいけない気がして、僕のラップ人生は始まります。

そうしてライブの次の日。僕は早速地元のサイファーに行きました。サイファーとは、ラッパーが日頃のおしゃべりのような感覚で、円を囲んで即興でラップをすることです。僕の住んでいる地域にもサイファーがあったので行きました。最初は見学だけのつもりでしたが、参加していた人に「やっちゃえ!」と言われて、気づいたらラップをしていました。とても楽しかった。その印象が今でも一番強いです。拙いながらも、初めて(正確には2回目)ラップをすることができました。それからそのサイファーには、予定が合うときは顔を出すようになりました。

そこから日々フリースタイル(即興)ラップを練習するようになりました。練習といっても、ぶつぶつとラップらしいものを呟くだけです。時間に余裕があるときはビートに乗せて、通勤中とかは、人に聞こえないぐらいの小さい声で。今その瞬間に思っていることや、見かけたものでラップをするようにしました。その中で少しずつですが、自分の抱えていたモヤモヤなんかもラップにすることができるようになりました。ラップって楽しい。かつてリスナーだった僕は、少しずつプレイヤーになっていって、今もその変化のまっ最中です。

こんな感じで2020年はHIP HOPと僕の関係性が大きく変わる年となりました。ただ、僕が2020年を通してHIPしてHOPしたと言うのは、何もライブに行ったり、ラップを始めたからではありません。HIP HOPから学んだことが、人生に浸透し始めたのが僕にとっての2020年だったからです。

浸透するHIP HOP

梅田サイファーのライブ以降、HIP HOPに触れる度に僕が感じたのは、自分に正直に生きるということでした。それをHIPHOPでは各々の「リアル」と言ったりしますが、何がリアルで何がフェイク(リアルの対義語)という論争もあったりするので、ここではあまりその言葉を使わずに進めたいと思います。

ラッパーの人たちは自分の人生を歌詞にしてラップにしています。その中には自分がどう生きたいかとか、どんなことに憤りを感じているのかとか、清濁を合わせた自分自身の意見が出てきます。世間の評価ではなく、絶対的に自分の評価です。その評価軸には様々ありますが、自分の信念や筋が通っていないことは歌詞にしないし、やりません。

僕もそれがしたいと思いました。自分だけの幸せや正解ってなんなのか。何をして生きていきたいのか。それを得るため、するためには何をすればいいのか。そんなことをこれまでの人生で最も考えた1年でした。さらにいえば、その考えたものを最も実行に移した1年でした。

春の初めに、僕はいろいろなことに挑戦してみました。ブログやゲーム実況、映像制作、Twitterとか本当にいろいろ、興味があるものにはとりあえず挑戦してみました。ですがその中で、やっていて自分が楽しくないものと楽しいものに別れることに気付きました。特に一番大きいなと感じたのが、僕はどうもお金稼ぎを楽しいと思わないということでした。

それに気づくまでは、なんとかお金につながることをやろうと活動していました。ブログで広告費を稼いだり、Youtubeで一発当ててやるとか。でも当然ですが、そのためには試行錯誤が必要です。でもその試行錯誤が全然できませんでした、というかやりたくないなと思いました。そこで初めて、僕はお金を稼ぐことを目的として何かを頑張ることができないらしい、と気づいたのです。

言ってしまえば、お金を稼ぐことは僕の幸せに直結しないということです。こうなるとお金を稼ぐことが大変なことになってしまうので、人生ハードになるかも?と思っていましたが、実はむしろ逆だということにも同時に気付きました。なぜなら僕の幸せは、何かを作ることと繋がっているということがわかったからです。

創作と幸せ

何かを作ること、創作。この文章を執筆することもそうですし、映像を制作したり、ラップをしたりすることもそうです。何かを生み出すこと、それ自体が自分の人生の幸せになるんだと気付きました。お金を稼げるかどうかはいったん置いておいて、自分が楽しそうなことをしてみる。そうやって創作に意識的に取り組むようにしてみました。すると少しずつですが、人生が楽しくなっていきました

映像を作る。文章を綴る。ラップをする。そんなことたちを繰り返していると、時間はあっという間に過ぎていきます。夢中になっていると言えるかもしれません。そんな時間が僕の人生を占める割合が大きくなっていったのです。気づけば毎日、何かしらを創り、生み出すことをするようになりました。

そんな中で新たな目標も生まれました。もっといいものを創りたい。もっと長く創作をしていたい。そう思うようになりました。そのためにはもっとたくさんのことを学ぶ必要があるということも感じるようになりました。自分がどんな人生を送りたいのか、僕なりのHIP HOPとはなんなのかということが、少しずつ形になってきました。

HIP HOPと2021

そんな風にして、HIP HOPは僕の2020年にとても大きな影響を与えてくれました。自分の評価軸を持つこと。自分の幸せを考えること。そして、その幸せに近づいていこうと行動すること。やりたい、楽しそうと思ったなら、ラップしてみればいい。あとのことは、そこから考えればいいから。そんな風にして過ごした先にあったのは、めちゃめちゃ楽しい人生でした。

2021年は、そんな2020年のさらに先を進みます。もっともっと加速したい。この1年はきっと今後の人生の一つのターニングポイントになる、そんな気がしています。そんな想いを、映像やラップや文章や他にもいろんな形で、僕の外側に出して、どこかの誰かに伝えることができればいいなと思います。最後に梅田サイファーの歌詞を引用して、この記事を締め括りたいと思います。

 

「俺らマジで頑張る」 From トラボルタカスタム