生きるのが下手くそなエッセイ

人生に悩みまくりの僕カシコが、エッセイやコラムを気が向いたときに書いていきます

「好きを仕事に」だけでは足りないので、「自分を好きに」を足した

noteをさまよっていたら、こんな記事を見つけた。

スキがめっちゃついていることから、いわゆるバズった記事だろう。そう長くもないので読んでもらっても良いのだけれど、すごい簡単に内容をまとめると

好きを仕事に=好きな作業を仕事に

ということだった。もちろん間違っていないと思うけど、これだけでは僕は仕事と上手く付き合っていけないなと感じたので、身勝手ではあるけど、僕なりに考えを足してみようと思う。

そもそもまず「好きな作業」という言い方が、僕からするとちょっとずるいと感じた。例えば、僕は編集者の作業が好きです!と言ったとき、そこには実は様々な小さい作業が隠れている。もちろんメインでは、担当している作家の作品に対する打ち合わせや、文章のチェックなどがあると思う。でも同時にそれ以外の業務もたくさんある。

関係各所との電話だったり、メールだったり、流行のチェックだったり、資料作りだったり、プレゼンだったり。別に僕は編集者じゃないので、これらの例は想像でしかないが、要するに、作業の中にも業務という形でたくさんの小さな作業があるということだ。これは多分どの職業でも大きくは変わらない。

さらにいえば、そもそもの好きな作業から離れる場合もある。特に日本では、労働者は「総合職」として採用されることがある。これは、明確な業務内容を含めず、様々な部署を数年単位でローテーションしながら経験を積むということ。つまり、自分が好きだった作業があっても、ローテーションにより、全く関係ない作業の担当になってしまうこともある。

こんな感じでいざ働き出してみても、自分の好きな作業や業務だけをやることができない。そしてこのモヤモヤは、多くの働いている人が感じていることでもあると思う。こんなことをするために、この職についたわけじゃないのに…とか、なんでこんな仕事までやらなきゃいけないの?とか。そうなってしまうと、好きを仕事に=好きな作業を仕事に、という考えだけでは立ち行かなくなってしまう。

そこで僕はもう一つの好きがあると良いんじゃないかと思っている。それは、

仕事をしている自分を好きになること

この好きを持っていると、自分の好きじゃない仕事=作業をしているときでも、仕事との関係を上手く保つことができる。

好きじゃない作業をしているときに最も大変なのが、「なんでこんなことしているの」という自問自答だ。もちろん、それも必要だからという理由はあるのだけれど、それは理屈上の話で、精神的には納得できないこともままある。そんなときに頭をよぎりがちなのが、「じゃあ、辞めちゃう?」だ。

自分がしたかった作業ができない→じゃあこんなとこにいなくて良いんじゃないか?という風に思考が展開していってしまう。もちろんそれが正解の場合もあるけれど、日本ではまだまだ転職の自由度は高くないから、安易に仕事を辞める選択は取りにくい。そんなときに自分を支えてくれるのが、仕事をしている自分を好きになることだ。

これは言い換えれば、自分のしている作業に意味や意義を見出すということ。「なんでこんなことしてるんだ…」と思ったときに、「でもこの仕事とか作業って、社会に結構貢献してるんだよな」とか「知らない誰かの笑顔に繋がってるんだよな」とか、その仕事や作業がどれだけ価値のあるものなのかを自覚しておく、ということだ。

この好きは実は、好きな作業をしているときにも役立ったりする。いくら好きな作業といえど、人には限度がある。ない人もいるだろうけど、ある人もいる。好きな作業でも嫌になるほどしんどい時期や、嫌いになりそうなほどやり続けなきゃいけない時もある。そして残念ながらこういうものを避けて通ることって本当に難しい(特に仕事の締め切りの前とか…)。

そんなときに、さっきの好きを思い出してみる。今は辛いかもしれないけど、この作業がどこかの誰かの役に立っている、誰かの笑顔につながっている。そんな作業している自分ってすごくない?カッコよくない?クールじゃない?そんな自分って最高じゃない!?そう思えるだけで、自分を支える突�� �張り棒になってくれたりする。

これは別に常日頃から意識する必要はないと思う。だって、日頃は好きな仕事してるんだし。でも、どうしてもしんどいな、辛いな、ってなったとき、自分の心が折れそうになったときに、そんな作業をしている自分を好きでいることで、突っ張り棒が後ろから支えてくれるのだ。

好きを仕事に=好きな作業を仕事にするって難しい。そもそも自分がどんな作業が好きなのかも、意外とわからないから。でも好きを仕事にした後も難しい。好きだけで乗り越えられない壁も出てくるから。でもそんなときこそ、そんな自分を好きになることで、グッと踏ん張れる土台が生み出せるんじゃないだろうか。